被災地のためにできることは? 突然の物資の送付・訪問は控えて

能登半島地震

石川春菜 大坪実佳子 竹石涼子
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 被災地を支援したい――と、思いつくままに支援物資を送ったり、ボランティアに赴いたりすると、かえって現地の負担になりかねない。どんな行動が求められているのか。

 石川県は8日午前11時時点で、個人からの支援物資については仕分けの手間などを考慮して受け付けていない。一方、企業や団体からのまとまった量の支援物資は、県厚生政策課に連絡し、内容や搬入方法を調整した上で受け付けている。県内に直接持ち込むことは、「交通渋滞などによって緊急車両などの通行の妨げになる」として、控えることを強く求める。

 支援物資受付センターを開設している自治体もあるが、「市内からの持ち込みに限る」など条件があるため確認が必要だ。

 ボランティアも県外からの受け入れは始まっていないが、6日から事前受け付けを始めている。インターネットの特設サイトから連絡先や活動可能な曜日などを登録することで、後日、活動依頼がメールで届く。

 県は、支援を必要としている人がつながりづらくなるため、役所や社会福祉協議会などに電話で問い合わせることは控えるよう求めている。石川県以外の被災地でも、最新のボランティア募集状況はインターネットで確認する。

 被災した現地で活動している名古屋市のNPO法人「レスキューストックヤード」(RSY)によると、石川県内は地割れや崩落などの影響で渋滞しており、通行できない道も少なくない。タイヤがパンクした時のため、スペアタイヤや修理道具を準備して現地入りしているという。事務局長の浜田ゆうさん(58)は「立ち往生すると、かえって被災地に迷惑をかけてしまう」と話す。

 東日本大震災の直後には、十分な食料やガソリンがなかったり、道に迷ったりするボランティアが相次いだ。岩手県陸前高田市の防災士・佐藤一男さんによると、ボランティアに長時間の道案内を頼まれたり、津波のことを聞かれるなどしてつらい思いをしたりした被災者もいたという。

 当時、個人から届いた支援物資についても、仕分けの手間などで困ることが多かったという。

 親戚や友人に宛てる荷物にも注意が必要だ。今後、宅配便の配達が再開しても、もとの家にはいない場合もある。配達員が避難所を回ってなんとか届けても、届いた時には食べられない物もあったという。「被災地や被災者に負担をかけない方法を考えてほしい」と、佐藤さんは訴える。

 直接現地に行かずに支援する方法もある。支援活動に取り組むNPOの物資の仕分けを手伝ったり、信頼できる団体に寄付したり。RSYの浜田さんは「力になれる方法はたくさんある」という。「長期戦になることが予想される。支援をしたい、役に立ちたいという気持ちを長く持ち続け、その時々で必要とされることをしてほしい」(石川春菜、大坪実佳子、竹石涼子)

●「力になりたい」と思ったら…

・信頼のおける団体や自治体などが募る寄付

・現地で活動中の団体への後方支援

●現地はまだ「受け入れる状況にない」

・石川県や富山県は、個人からの支援物資を受け付けていない

・道路状況や態勢などの面から、県外からの個人ボランティアは受け入れていない

●注意が必要なこと

・親族や友人への救援物資も送る前によく検討する。受け取る側が通常の住所地に不在だったり、配達自体が困難だったりする状況が考えられる

・現地で支援を求めている人の電話を妨げないよう、情報収集は電話ではなくネットで

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