「泣いてもいいんだよ」 避難所の夜、9歳が母と交わした1つの約束
内田光
能登半島地震で多くの道路がふさがれ、孤立していた石川県輪島市東部の町野町東地区に5日夜、記者が入った。80人以上が避難する廃校の体育館で、被災者の声を聞いた。
午後7時過ぎ。就寝前、原裕子さん(39)は小学3年生の次男・椿月(つばき)くん(9)に優しく声をかけた。
「そう言えばきょうはまだ泣いていなかったね。泣いてもいいんだよ」
椿月くんは布団の中から裕子さんに手を伸ばして、「きょうはもう泣いた」と告げた。
2人は、一つの約束をしてい…