懐かしの車両写真や古い切符を披露 和歌山・橋本の鉄道愛好家ら展示
和歌山県橋本市在住の鉄道好きの人たちでつくる「はしもと鉄道クラブ」の会員による展示会が4日まで、橋本市東家1丁目の市図書館で開かれている。鉄道車両を四季折々の風景におさめた写真から、秘蔵の鉄道グッズまで。鉄道の街として栄えた橋本と、その周辺地域の近現代史をたどることができる。
クラブのメンバーは50~80代の13人。代表を務める社会保険労務士の森本宏さん(88)は20代のころから、趣味で鉄道を写真におさめたり、切符などのグッズを集めたりしてきた。
南海高野線にはかつて、橋本―紀伊清水間で分岐する引き込み線があり、紀の川の砂利や水運で運ばれてきた木材を輸送する貨物列車が発着していたという。森本さんが1955年に橋本駅で撮影した白黒写真では、ヨーロッパ風の凸型の車体の電気機関車が貨物列車を引っ張っている。鉄道貨物の全盛期の記録として貴重なものといえる。
森本さんの切符のコレクションのなかでも出色なのが、1919年の旧国鉄和歌山線の高野口―橋本間の切符だ。表面の日本語表記は右から左に横書きされた古風な書体だが、裏面には英語表記がある。当時は高野口駅が最寄り駅だった高野山が、すでに国際的な観光地だったことを物語る。
また、クラブメンバーの杉本吉仁さん(70)は、南海電鉄の元運転士。2016年に引退するまで、高野線の観光列車「天空」などでハンドルを握ってきた。杉本さんが撮影した、1930年代から70年代まで南海各線で活躍し、旧貴志川線(現・和歌山電鉄)で1995年に引退した1201形電車の写真からは、鉄道マンならではのレトロな車両への愛着が感じられる。
森本さんは「路線の廃止、長く活躍してきた車両の運行終了といった暗い話題も多い昨今ですが、この展示会が、皆さんが鉄道との関わりを考えるきっかけになれば幸いです」と話す。杉本さんは「他方では鉄道系ユーチューバーが人気を博しており、そういった若い世代の鉄道好きと私たちが何らかの連携を持てれば、社会全体で鉄道を見直す動きにもつながるのでは」と期待を込めた。
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