ムダ会議に年間9万2千時間 損失2億円 時間は過ぎるよどこまでも

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上地一姫
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 決まらない、終わらない、意味がない。

 ああ、また会議か。

 そう感じたことがある人、多いのでは。

 解決策はないのか。

 新潟県小千谷市にある調味料メーカー「山崎醸造」。営業担当7人が、効果的に業務をこなすため、理想のチームづくりについて話し合っていた。

 「制限時間は3分」。

 サブリーダーの桜井宏考さん(36)の声かけで、一斉に付箋(ふせん)に向かう。

 上司や先の人の発言に左右されないよう、まず、自分の意見を書く。

 視線を上に向けたり、額をこすったり。手元に3枚、4枚と増えていく。

 発表の時間になった。立ち上がり、机の中央にある用紙に張り出す。

 入社4年目の福士佳奈さん(25)は、「少しずれるかも知れないけど」と切り出した。

 手にした付箋は2枚。「販売会議の雰囲気」「リアクション」とある。

 「販売会議の雰囲気を明るくしたい」

 普段は周りの空気を読んでいる。でも、この会議では「思い切って提案しちゃえと思いました」。手をたたき賛同する人。大きくうなずく人。自然とみんなの声が弾む。否定する人はいない。

4時間続く会議、どう変える?

 言及した「販売会議」は、月1回、開かれる。役員も交えて売り上げや目標、懸案事項について確認する場だ。

 どんな雰囲気なのか。記者が社員に様子を尋ねてみると、複数が「重い」と明かした。

 会議は4時間超。限られた人…

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    井本直歩子
    (元競泳五輪代表・途上国教育専門家)
    2024年1月7日23時13分 投稿
    【視点】

    日本の仕事の生産性効率はOECD36ヵ国中27位で、G7の中では常にワーストを守り続けています(2021年データ)。時間あたりの労働生産性のランキング1位のアイルランドと、2位のルクセンブルクの1時間あたりの生産効率の換算はそれぞれ$139

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    小室淑恵
    (株式会社ワーク・ライフバランス社長)
    2024年1月8日20時5分 投稿
    【解説】

    25歳の福士佳奈さんが「販売会議では、もっとお互いの意見にリアクションを」と職場に忖度せず言えた。これが山崎醸造の会議が変わるターニングポイントになった。 若手が年長者に「忖度」せずに意見を言えるようになると、驚くほど職場の課題は解決し、

    …続きを読む