村のガソリンスタンド、守ったけれど 「灯油は貴重品」過疎地の苦境

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上地一姫
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 「ガソリンスタンドが閉鎖されます」

 大分県杵築市の旧大田村。住民の自治組織の広報紙に2021年1月、こんな告知が載った。

 高齢者向けに、灯油の配達なども担っていた。経営者の夫婦がともに80歳を超え、地下タンクも老朽化。年末で閉店するという。

 人口千人余、高齢化率は約55%。05年に合併した旧杵築市や山香町には複数のスタンドがあるが、大田村では一つだけだ。バスなども少なく、車は生活に欠かせない。

迫るタイムリミット

 商工会、役所も交えて、繰り返し対応を話し合った。

 「もうかる事業ではないのに、誰が経営するのか」「資金調達は」「灯油の配達だけ地域外の給油所に依頼するのはどうか」

 閉店まで4カ月を切った9月。自治組織の役員が手をあげた。

 「地域の課題を解決するのが…

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    仲村和代
    (朝日新聞社会部次長)
    2024年4月12日10時26分 投稿
    【視点】

     都市に住んでいると実感しづらいですが、地方にいると、車は必須。灯油の確保のためにも、ガソリンスタンドはインフラとして重要な存在です。燃料の確保のために遠方までいかざるを得ず、そのための燃料代がかかる――。そんな状況が生まれています。防災の

    …続きを読む