COP28取材のメディア30人に聞いた「気候変動を伝える難しさ」

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 中東ドバイで開かれた国連気候変動会議(COP28)には、各国政府代表団やNGOだけでなく、世界各国から4千人近いメディア関係者も集まった。気候変動をどう伝えていくのか。現地で取材した一般社団法人「Media is Hope」の共同代表理事・名取由佳さんに寄稿してもらった。

 なとり・ゆか 1990年、東京都出身。一般企業勤務を経て2022年、気候変動を発信するメディアをつなぎ、読者・視聴者として応援する団体「Media is Hope」設立。

 今回COPに初めて参加し現地で海外のジャーナリスト30人にインタビューした。そこで感じたのは、「気候変動報道に悩んでいる」という現実だった。

 気候変動報道はむずかしい。そう答えたのは30人中26人で、8割以上を占めた。深刻さをどう伝えるべきか。科学の専門知識が必要な話題を一般市民にどう届けるか。

 ドイツの国際公共放送ドイチェ・ウェレ(DW)のブレイズ・エヨン記者は「戦争に比べ、何がどのように気候変動に影響を及ぼしているのか、単純明快なことは何もない。使う用語や言葉には細心の注意を払わなければならない」と語った。

 米ウェブメディア「ビジネス・インサイダー」のキャサリン・ボドロー記者は「科学的なことを伝えても、一人ひとりにどう影響するのか落とし込むことは難しい。人々への影響に注目することが重要だ」と述べた。

 英タイムズ紙のベンジャミン・クーク記者は「問題は深刻だ、と伝える一方で、創造的な解決策もあるということも伝えるようバランスを大切にしている。私たちが行動を共にすれば、事態を打開できるはずだ」という。

 一方で、COP28の交渉と同じように、メディアの間にも「先進国」と「途上国」の格差があることも浮き彫りになった。

 新興・途上国である「グロー…

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