孤独感強めると抑うつに 軽減には孤立の感じ方「一人でも楽しい」

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桜井林太郎
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 人は孤独だと感じると、一時的に憂鬱(ゆううつ)な気分となって気力を失う「抑うつ症状」がでやすい。一方、物理的に人とのつながりが少ない社会的孤立の状況でも孤独と感じず健康的に過ごせる人たちもいる。社会的孤立を自覚する場合に孤独を感じ、抑うつ症状を高めやすいのではないか。筑波大や弘前大、東洋学園大などの研究チームが約3千人を対象にしたオンライン調査を分析し、そんな心理構造を解き明かした。

 チームの太刀川弘和筑波大教授(精神医学)は「社会的孤立の状況の人たちの支援には、絆を深めて人とのつながりを増やすだけでなく、本人がどう感じているか認知面にも焦点をあて、避けられない孤立に対して孤独を感じにくくさせるような、前向きなもののとらえ方があることも知ってもらう必要がある」と提案、さらに研究を進め、孤立や孤独感を予防・軽減するためのよりよい対策につなげたいとしている。

 研究チームは2022年3月にオンライン調査を、20歳以上の3315人(平均50・5歳)を対象に実施。①家族との社会的なつながり②友人との社会的なつながり③社会的孤立の自覚④孤独感⑤抑うつ症状――の5項目について質問し、国際的な手法で点数化した。

 例えば、「友人との社会的なつながり」ならば、月1回以上会ったり話したりする友人の数▽個人的なことを話せる気軽に感じられる友人の数▽助けを求めることができる親しい友人の数を尋ね、6段階で評価。「孤独感」は、「仲間づきあいがないと感じることがあるか」「疎外されていると感じることがあるか」など三つの質問を3段階で評価してもらった。

 5項目が全体の中でどう関連しあっているかを、統計的に分析した。

 その結果、家族との社会的なつながりと、友人との社会的なつながりは、孤独感や抑うつ症状には直接的な関連は弱かったが、社会的孤立の自覚とは中程度の関連があった。

 社会的孤立を自覚すると、孤…

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    吉川ばんび
    (作家・コラムニスト)
    2024年5月8日22時0分 投稿
    【視点】

    貧困問題や家族の問題などに取り組んでいると、どうしても切り離せないと感じるのが「社会的孤立」です。特に精神疾患を抱えている・抱えていた方にお話を伺うと、ほとんどの場合に「誰にも頼ることができなかった」「そもそも誰かに話そうという発想がなかっ

    …続きを読む