外国籍でも町職員に 住民の2割が外国人の町、採用の国籍条項撤廃

柳沼広幸
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 住民の2割が外国人という群馬県大泉町は26日、町職員の採用試験の受験資格から、日本国籍の条項を撤廃すると発表した。全職種で外国籍の人も受験できるようになり、職員採用への道を開く。全職種で国籍要件を撤廃するのは、県内の自治体では初めてという。

 村山俊明町長は「町の学校で共に学んできた一方で、公務員の受験資格がないのは理不尽だ」と理由を述べた。町の多文化協働課や教育の現場などでは外国籍の職員がいたほうが、「言葉のトラブルなどを解決できる」とし、活躍を期待しているという。

 国籍条項を撤廃するのは、2025年4月以降に採用する職員についてで、24年度に実施する試験から適用する。在留資格は期間が限定されない「永住者」または「特別永住者」が必要だ。

 試験は日本国籍も外国籍も同じ条件で、教養や適性、面接、作文などで決める。これまでの採用の競争率は高く、20年は採用9人(倍率は12・9倍)、21年は同15人(同9・8倍)、22年は同9人(同14・0倍)。

 ただし採用後、外国籍の職員は、課長職以上の管理職や施設長、町の基本政策に関与する職にはつけない。公権力を行使する税の賦課や滞納処分都市計画決定、土地収用、立ち入り検査などは行えない。国の通知で制限されているという。

 村山町長は「外国籍住民の採用で多文化共生がさらに進む。町で生まれた外国籍の若者は、職業選択が広がり、夢を持てるようになる。町職員として活躍し、デメリットもないと分かれば、他の自治体や県の職員採用にも広がってほしい」。

 大泉町は、町民4万1495人のうち2割の8306人が外国籍の住民。ブラジルやペルー、ベトナムなど51カ国の外国人が暮らす。

 職員採用の国籍要件をめぐっては、県が22年、看護師や栄養士などの一部の職種で実施していた要件の撤廃を、知事部局の全職種に拡大する方針を打ち出したが、その後は具体化していない。

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    望月優大
    (ライター)
    2023年12月28日10時58分 投稿
    【視点】

    大泉町はブラジルルーツの方が多く暮らす町として知られています。「オールドカマー」との対比で「ニューカマー」とも言われる1990年代前後以降に来日した人々の中には、その後日本で定住する道を選び、結婚し、子どもを日本で生み育てている人も少なくあ

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    阿部藹
    (琉球大学客員研究員・IAm共同代表)
    2023年12月28日15時21分 投稿
    【視点】

    沖縄県が最後まで抗う中で地方自治を揺るがすような代執行が初めて実施されるという今日、地域の実情に沿った先進的な地方自治の取り組みのニュースに触れて少し救われたような気持ちだ。 村山俊明町長の「町の学校で共に学んできた一方で、公務員の受

    …続きを読む