途絶えた養育費 シングルマザー「泣き寝入りしか」 制度改正の課題

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伊藤和行

 離婚後に養育費が支払われず、困窮するひとり親家庭は後を絶たない。受け取りやすくするための議論が法制審議会(法相の諮問機関)で進む中、あるシングルマザーにひとり親家庭の実態や理想的な仕組みを聞いた。

 東日本に住む女性(47)は約10年前、元夫と離婚した。元夫から「専業主婦のくせに俺の電話に出られないのか」といった暴言や、押し倒されたり、平手打ちされたりする暴力を受けたのが原因。10年余りの結婚生活に見切りをつけ、娘2人と家から逃げ出した。

 家裁に離婚調停を申し立てた。元夫は「反省しています」と渋ったが、離婚が成立し、家裁が公表する算定表をもとに養育費も取り決めた。元夫の年収などから、娘2人が20歳になるまで、1人あたり月3万5千円の支払いが決まった。

 だが、1年たつと、支払いは途絶えた。

 女性は弁護士を通じて元夫に「子どもの親である限り、いくらでもいいから支払いを続けてほしい」と伝えた。減額を求められて応じたが、数カ月で再び途絶えた。収入が減り、借金があるとのことだった。

 女性は今、正規の介護職に就き、年収は340万円ほど。長女は奨学金を得て専門学校に通い、次女は来年から高校生になる。長女に養育費の支払いが途絶えたことを伝えると「見捨てられたんだね」と言われた。次女は小学生から続けたバスケットボールを高校ではあきらめ、「バイトをする」と言い始めた。

 「食費や光熱費など生活だけ…

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この記事を書いた人
伊藤和行
那覇総局長
専門・関心分野
沖縄、差別、マジョリティー、生きづらさ