京葉線の朝夕の快速を廃止、各駅に 「沿線の価値損なう」千葉市反発

重政紀元 近藤咲子
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 JR東日本が来年3月のダイヤ改定で、京葉線の快速電車を朝夕夜間帯は全てを各駅停車に変更することに対し、千葉市などから反発の声が上がっている。同市の神谷俊一市長は21日、「沿線の価値を損なう」などと強く批判し、近くJR千葉支社に説明を求める意向を示した。

 来年3月16日のダイヤ改定で、京葉線は日中帯(午前10時~午後3時台)を除いた朝夕夜間帯は、快速をなくして各駅停車に変更し、通勤快速(上下線合わせて平日4本)は廃止にする。快速の運行本数は平日は上下線合わせて59本から24本に、土休日は同89本から47本に大きく減る。

 通勤快速は起点の蘇我駅から東京メトロ有楽町線と乗り換えができる新木場駅までノンストップ運行しており、所要時間は東京―蘇我間では朝は平均14分、夕夜間帯は19分ほど増える。

 一方、現在快速が停車しない駅では乗車できる本数が増加する。平日で幕張豊砂、二俣新町、市川塩浜は同31本、新習志野は同32本増える。各駅停車のみが走る時間帯は通過待ちにかかっていた時間がなくなるため、従来の各駅停車利用者の所要時間は短くなる。

 神谷市長は21日の定例記者会見で、東京への通勤・通学、幕張新都心へのアクセスに相当な影響が出ると疑問視し、「極端な変更で、市民生活を支える広域交通の在り方としてとても容認できない」と厳しく批判。「自治体が子育てと仕事が両立する環境をつくろうとしている中、その根底を揺るがす」と述べた。

 神谷市長のX(旧ツイッター)には、利用する住民から「保育園の送迎が間に合わなくなる」といった声が400件以上寄せられているという。蘇我以南の自治体などにも改定反対を呼び掛けていく。熊谷俊人知事も21日の定例会見で「沿線の住民や事業活動に大きなマイナスで県として容認できない」と述べた。

 JR千葉支社は今回のダイヤ改定の狙いについて、「乗客を分散させることで、利便性向上を図ることが目的」(広報担当)と説明する。京葉線の現状の乗車率はコロナ禍前と比べて7~8割にとどまっているが、朝夕の通勤時間帯の快速は混雑状態となっているという。同支社では必要に応じて千葉市長らへの説明を実施するとしている。(重政紀元、近藤咲子)

来春のダイヤ改定による県内への主な影響

・京葉線の午前10時~午後3時台を除く通勤快速・快速を全て各駅停車に変更。通勤快速は廃止

・東京と房総を結ぶ特急「しおさい」「わかしお」「さざなみ」を一部減便し、列車を5~6両編成に変更

・成田エクスプレスの一部の便が新たに千葉駅、佐倉駅に停車。特急料金をシーズン別から通年同額に統一する

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