日本学術会議、「既定路線」にのった法人化 見通せぬ独立性
日本学術会議が約75年の歴史で、大きな転機を迎えた。政府は国の機関から切り離し、独立した法人とする方針を示した。3年前の会員候補の任命拒否問題に端を発した組織改編の議論が区切りを迎えたが、学術の独立性や自律性を守ることができるのか。
岸田政権にとって学術会議の組織改編は、菅前政権の任命拒否問題に端を発した「負の遺産」。早く決着させたいのが本音だった。このため政府は国の機関として残しつつ、外部の有識者が会員選考に関わるようにすることなどを柱とする改正案を昨年末にまとめた。
だが、学術会議が「独立性が損なわれる」と反発し、今春、法案提出を断念した。これを機に学術会議との対立は決定的になり、有識者懇でも法人化が既定路線となった。
官邸幹部は「政府の改正案が嫌ならもう法人化しかないと言ってきた」と語る。学術会議に批判的で国からの独立を提言した自民党のプロジェクトチームのメンバーの一人は「構造的、方向的に党と同じ方向を向いている」と満足げに述べた。
政府の組織改正案には猛反発した学術会議だが、法人化案には「懸念がある」としながらも、強い反対を打ち出せなかった。
会員間に温度差
背景に会員の間の温度差があ…
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- 【視点】
内閣府の方針案は、有識者懇談会(本件に限らず、新聞記事では正式名称が表記されない傾向がありますが、「日本学術会議の在り方に関する有識者懇談会」と正式名称で記して頂きたいものです。)の中間報告(下記)をほぼ踏襲したものだとされています。 h
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