AIのコンテンツ学習、著作権侵害の場合も 文化庁が法解釈の素案

平賀拓史
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 生成AI(人工知能)が記事や画像データなどを無断で利用する「ただ乗り」(フリーライド)に懸念の声が上がる中、文化庁は20日、生成AIによるコンテンツの無断学習が著作権侵害にあたる場合もあるとする「AIと著作権に関する考え方」の素案を示した。現行の著作権法の解釈を明確にし、歯止めをかけたい考えだ。

 著作権法では、生成AIによる学習については原則として著作物を許諾なく利用できると定めている。文化審議会著作権分科会の法制度小委員会に示された素案では、生成AIに著作物を学習させる際でも、既存の著作物の一部を出力させる目的がある場合などは、許諾が必要となると指摘した。

 特定のクリエーターの著作物のみを学習した生成AIが、その作風をまねる懸念にも言及。生成物に、クリエーターの著作権が及ぶと考えられる場合があるとした。

 また、検索エンジンを組み合わせた生成AIについては、開発のために著作物を学習させることは許諾が必要になる場合もあると示した。加えて、著作物の軽微な利用についても触れ、程度によっては許諾が必要となるとした。

 フリーライドの問題をめぐっては、日本新聞協会などが著作権法改正も視野にルール整備を求めていた。文化庁は今回法改正には踏み込まず、「考え方」を示すことで生成AI事業者の適切な対応を誘導したい考えだ。素案について今後議論を重ね、今年度末をめどに内容を固めて公表する方針だ。(平賀拓史)

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