県の多様性条例が成立 賛成方針決めた自民からも退席議員が続出

鳥尾祐太 田中久稔
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 多様性の尊重に関する条例は19日、千葉県議会本会議で賛成多数で可決、成立した。賛成方針を決めていた自民党で1人が反対、8人が退席したほか、共産党なども反対した。条例は来年1月1日に施行される。障害者や外国人、性的少数者を含むあらゆる人々が尊重され、その人らしく活躍できる社会づくりをうたうが、その理念の実効性は今後問われることになる。

 本会議には全議員95人中93人が出席。最大会派の自民党(50人)は賛成を決めていたものの、起立による採決で、中村実氏(船橋市選出)が着席したまま反対し、県連前幹事長の河上茂氏(松戸市)や県連副会長の本間進氏(千葉市中央区)ら8人が退席した。

 賛成の討論をした立憲民主党の野田剛彦氏(船橋市)は「条例の制定はわずかな一歩だが、多様な立場、価値観を持つ方々が合意したぎりぎりの一歩でもある。立ち止まりや後戻りではなく共に一歩前へと前進しましょう」と訴えた。市民力の中西香澄氏(松戸市)も「差別や生きづらさが無くなる社会の実現に期待する」と賛成の立場から討論をした。

 一方、共産党の三輪由美氏(松戸市)は反対の討論で、「多様性の尊重は当然だが、県民と共につくりあげる姿勢が不十分。人権尊重や差別禁止などが明記されておらず、実効性を担保できない」と述べた。

 保守派の立場から「性差否定の教育につながる」などと反対の討論をした有志の会の折本龍則氏(浦安市)は、議会の申し合わせで決められた持ち時間の10分を超え、議長の再三の制止を受けても発言を続けた。閉会後に急きょ議会運営委員会が開かれ、議長が折本氏に厳重注意をし、議長制止後の発言を会議録に記録しないことを決めた。(鳥尾祐太、田中久稔)

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