大衆化する世論操作 先端技術も活用し、社会全体で偽情報対策を

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山口真一のメディア私評

 ロシアによるウクライナ侵攻や、イスラエルとハマスの衝突をはじめとする世界各地の紛争では、偽情報戦が大規模に、かつ、巧妙に展開されている。このような状況の中で、欧州連合(EU)はX(旧ツイッター)に対して、イスラエルとハマスの衝突に関する誤情報や不適切なコンテンツがX上で見られるとの懸念を示し、警告を出した。またXだけでなく他の大手プラットフォーム事業者に対しても、同様の課題に対処するための対策を求めている。

 戦争や紛争における偽情報の使用は古来行われてきたが、現代においてはその状況が大きく変化している。人々は日常的に偽情報に晒(さら)されるような状況に直面している。その背景には、AI技術の急速な発展とSNSの普及が複合的に作用している。これらの技術は、情報のアクセス性と拡散力を高める一方で、大量の偽情報を迅速に広める手段としても利用されている。

 生成AIの普及により、誰もが高精度の偽画像や偽映像を容易に作製できる「ディープフェイクの大衆化」が起こった。この技術の進歩は、特に画像や映像に関する情報の信頼性に大きな影響を与えている。

 例えば、イスラエル・ハマス…

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    佐倉統
    (東京大学大学院教授=科学技術社会論)
    2023年12月15日13時45分 投稿
    【視点】

    偽情報に人力で対抗するのはもう無理だ。フェイクを見つけて修正するAIが現在も研究開発中で、遠からず実用化されるだろう。しかし、あちらも技術は進歩していくので、偽情報、偽ニュースに完全に対抗できることにはならない。いたちごっこはこの先もずっと

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