第2回若者のオーバードーズ「頭ごなしに否定しないで」 必要な支援とは

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聞き手・川野由起 米田悠一郎

 市販薬の過剰摂取(オーバードーズ、OD)が、若年者を中心に広がっています。薬物問題に詳しい国立精神・神経医療研究センターの嶋根卓也・心理社会研究室長は、ODは死に至る可能性もある危険な行為である一方、生きづらさを緩和するための「自己治療」として行われる例が多いと指摘します。また、支援につながるきっかけになるため、「ODを頭ごなしに否定することは逆効果だ」ともいいます。

 ――最近、市販薬のODが問題になっています。

 市販薬を主な原因とする薬物依存症の患者が年々増えています。特に10代での増加が顕著です。私たち国立精神・神経医療研究センターが実施した全国調査によれば、過去1年以内に市販薬の乱用経験があるのは、高校生全体の約1.6%と推計されています。

 ――ODにはどんな危険性があるのでしょうか。

 市販薬は医薬品です。それぞれ「1日何回まで」「1回何錠」といった用法や用量が決められています。

 薬局などで気軽に購入できるため、作用がマイルドな薬と考えられることが多いです。しかし、過剰に飲めば、意識を失ったり呼吸が止まったり、肝臓や心臓への障害が起きたりする可能性もあります。最悪の場合は死に至る危険な行為です。

 また、依存性のある成分が含まれているものもあり、ODを繰り返すうちに、薬物依存の状態になることもあります。

「自己治療」ずっとうまくいくとは限らない

 ――ODの背景には「生きづらさ」があると指摘されています。

 ODを繰り返す動機に着目すると、様々な生きづらさを緩和する「自己治療」としてODをしている人が多いように思います。彼らの中には「ODしたい」という気持ちと、「このままではいけない」「本当はやめたい」と相反する気持ちが共存しています。

 つらい気持ちを忘れさせてくれるODは、短期的にみれば、生きづらさへの対処として役立っています。そのため、ODをする人たちの気持ちを考えることなく、頭ごなしに否定することはかえって逆効果です。

 合法のため「何が悪いのか」と考える若者もいるでしょう。しかし、長期的にみれば「自己治療」がずっとうまくいくとは限りません。今は支援を必要としていなくても、「このままじゃまずい」と思った時、適切な支援につながることができるかが大事です。

 ――厚生労働省の検討会で1…

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この記事を書いた人
川野由起
くらし科学医療部
専門・関心分野
こどもの虐待、社会的養育、アディクション