「電車を止めるな!」備後庄原駅を銚子から激励 カープ選手らも登場

黒田陸離
[PR]

 開業から100年を迎えたJR芸備線の備後庄原駅などで9日、地元のまちづくり協議会による記念イベントがあった。存廃議論に揺れる鉄道区間を盛り上げようと企画。「日本一のエンタメ鉄道」を称する銚子電鉄千葉県銚子市)の竹本勝紀社長(61)らがエールを送った。

 備後庄原駅は1923年12月8日、当時の芸備鉄道の終着駅として開業。銚子電鉄も同じ年に開業し、今年100年を迎えた。竹本社長らが庄原市民会館を訪れ、同社製作の映画「電車を止めるな!~のろいの6・4km~」を上映した。

 映画は、銚子電鉄が経営難を乗り越えようと、実際に企画した心霊列車を走らせる内容。老朽化した設備の修繕費を賄うために作った。同社の収益を支える「ぬれ煎餅(せんべい)」や、経営悪化にかけたスナック菓子「まずい棒」なども登場。上映後に竹本社長は「お菓子ばかり作っているおかしな会社ですが、決してお菓子屋ではありません」。自虐的に語り、笑いを誘った。

 備後庄原駅―備中神代駅(岡山県新見市)の68・5キロ間は今年10月、JR西日本が全国で初めて再構築協議会の設置を国に要請した区間。竹本社長は、銚子電鉄も当時の社長の横領や東日本大震災などを乗り越えてきたことを紹介。「鉄道の再構築は地域の再構築。苦しい時しかないが、地域に必要だと思ってもらえれば残すことができる」と話した。

 備後庄原駅は2020年にリニューアルし、かつてマツダスタジアムにあった広島東洋カープの選手の像も駅のホームに置いた。そのうちの一つで、現役時代にフェンスをのぼっての「ホームランキャッチ」で沸かせた赤松真人コーチ(41)も9日、外野手の大盛穂(みのる)選手(27)と駅を訪れた。

 約10年ぶりに自身の像を見たという赤松コーチは「顔色もよくて元気そうでよかった」。一方でフェンス際のプレーについて「ノックを打っても選手が全然のぼってくれない。身体に当ててフィールドに落ちるだけでも本塁打を奪う大ファインプレーなのに」とぼやいた。

 大盛選手は「普通、あんなのできないです」とフォローした。そして「来年は今まで以上に、僕が野球をしているところを見てもらえるように練習します」と意気込みを語った。

 地元の有志が資金を出し、21年から芸備線と福塩線で走らせてきた「カープ号」のラッピング列車は13日に最終運転を迎える。(黒田陸離)

有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。

※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません