JR東海道線の村岡新駅、物価高騰で設置費9億円増 大船・藤沢間

芳垣文子
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 JR東海道線の大船―藤沢間に2032年ごろに開業が予定されている「村岡新駅(仮称)」について、駅の設置費用が当初より約9億円増えて約159億円となることが5日、明らかになった。

 この日開かれた鎌倉市議会全員協議会で、市が説明した。それによると、駅の設置にかかわるJR東日本神奈川県、藤沢、鎌倉両市の会合がこの日開かれ、JRから詳細設計による事業費の速報値について通知があったという。2020年度の概略設計の際は約150億円だったが、物価高騰が原因だという。

 新駅の事業費は21年2月に交わした覚書で、県が30%、藤沢市と鎌倉市が各27・5%、JRが15%を負担することになっている。

 鎌倉市は当初、負担する約41億円のうち、区画整理事業の土地売却などで得られる約37億円を充当し、市が直接負担するのは約4億円と見込んでいたが、今回の事業費増で負担は約3億円増える見通しだという。

 村岡新駅の予定地周辺では大規模なまちづくり計画が進んでいる。JRの村岡新駅だけでなく、大船駅と湘南江の島駅を結ぶ湘南モノレールにも挟まれ、通勤や観光の利便性が高い地域として注目されている。

 10月30日には藤沢市の村岡地区(約7・3ヘクタール)と鎌倉市の深沢地区(約31・1ヘクタール)の計38・4ヘクタールの開発が「村岡・深沢地区土地区画整理事業」として国から認可された。施行は都市再生機構(UR都市機構)で、総事業費は両地区合わせて約345億円。

 藤沢市の村岡地区は駅前広場や宅地などが整備される。一方、鎌倉市の深沢地区は商業施設や住宅、公園などが整備され、市は現在のJR鎌倉駅周辺や大船駅周辺に加え、第3の拠点として位置づけている。

 また、現在JR鎌倉駅そばにある市役所本庁舎を深沢地区に移転する計画を進めている。しかし、移転に必要な条例改正案が昨年市議会で否決され、当初2028年度に予定していた利用開始は30年度以降にずれ込む見通しだ。(芳垣文子)

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