第8回組み上がる木造リング、冷めた作業員の声 万博予定地・夢洲を歩けば

有料記事見過ごされた危機 大阪万博まで500日

岡純太郎 野平悠一
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 車両が行き交う度、砂ぼこりを巻き上げる未舗装の道。吹き抜ける北風を遮る大きな建物はない。大阪市此花区の人工島・夢洲(ゆめしま)。靴底には、湿った土がこびりついていた。

 「こちらです」。11月27日、2025年大阪・関西万博の準備を担う日本国際博覧会協会(万博協会)が報道機関向けに開いた現地見学会。協会職員に案内された先に、規則正しく木柱が組み合わさった巨大な建築物がそびえていた。数メートル先で、クレーンが轟音(ごうおん)を上げながら約2トンの木材をつり上げている。

 当初想定の1・9倍に膨らんだ最大2350億円の会場建設費のうち、344億円を投じる大屋根(リング)だ。

 直径675メートル、1周2キロ、高さは内側12メートルで外側20メートル、世界最大級の木造建築物。「多様でありながら、ひとつ」という万博の理念を表すシンボルで、参加国・地域や民間企業のパビリオン、大学教授や映画監督ら著名人が手がける八つのテーマ館を囲み、万博来場者の「空中歩廊」となる。

 建設は三つの共同企業体が3分割して進めており、大林組などで作る共同企業体の工事の様子が公開された。神社仏閣など日本の伝統的な建築物に使われる「貫工法(ぬきこうほう)」という建築方法で、柱と梁(はり)をくみ上げる。

記事の後半では、組み立てが進むリングの内部や、工事の様子などを動画で紹介します。

「完成を見て」施工責任者 「無駄になると思いながら…」作業員の本音

 リングには今、大きな批判が…

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    マライ・メントライン
    (よろず物書き業・翻訳家)
    2023年12月7日6時42分 投稿
    【視点】

    作業員すら「無駄」と感じるようなプロジェクトがなぜ強行されるのかといえば、おそらく東京五輪が「開催準備に関わった者たちにとって、充分にカネになった」という実績があるからだろう。もちろん被用者ではなく、組織と組織上層にとっての話である。 だ

    …続きを読む
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    仲岡しゅん
    (弁護士)
    2023年12月7日8時16分 投稿
    【視点】

    万博の跡地にはIRの誘致が予定されているが、夢洲のあたりには何もない。 カジノなら既に国外にはマカオやラスベガスといった一大集積地がある中で、あえて大阪にやって来るような外国人観光客が、わざわざカジノのためだけに立ち寄るような場所だろうか

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