飛び降りを図った17歳の僕へ 「最後の1作」自分のために描いたよ

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若松真平

 A「あした死のうと思って……」

 B「そっか そっか どうやって?」

 A「このあとホムセン(ホームセンター)で探す」

 B「じゃあ 最後の飯行こうぜ」

 (ラーメン店に到着)

 B「ここ うめーでしょ」

 A「うん」

 B「つけ麺もうめーから 来週食べにこねえ?」

 (ラーメン店を出る)

 B「ホムセンどっち?」

 A「来週にする」

    ◇

 漫画「あした死のうと思ってたのに」は、そんな少年2人のやりとりから始まる。

 死にたいと打ち明けた少年に対し、次々と予定を入れてくる友人。

 死の気配は次第に薄れていくが、やがて気持ちのすれ違いが起きる。

 そして、互いのつらい過去が明らかになって――というストーリーだ。

 作中で友人が、ビル屋上の手すりをつかんで「飛んだら楽になるかな」と思い詰めるシーンがある。

 この場面は、作者である吉本ユータヌキさん(37)の実体験を元に描かれたものだ。

 いじめに遭って対人関係をうまく築けず、両親の不仲に耐えられなくなった17歳の時。

 「死ぬ以外に選択肢がない。楽しみも、夢も、希望もない」

 自宅マンション11階の手す…

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若松真平
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