犯罪被害者を支援する条例制定を訴え

平子義紀
[PR]

 犯罪被害者の支援について考える講演会が3日、富山市千歳町のパレブラン高志会館であった。演台に立ったのは、元警察大学校長で全国被害者支援ネットワーク顧問の安田貴彦さん。安田さんは、富山県内の市町村に犯罪被害者支援条例がないことを取り上げ、「被害者が『自分が悪い』と責めるのではなく、支援を受けられる立場だと理解できるように、条例が必要だ」と訴えた。

 講演は犯罪被害者週間(11月25日~12月1日)に合わせて開かれた。安田さんは、かつて犯罪被害者は無視され、忍従を強いられる存在だったと指摘。「誰もが被害者になるかもしれないという社会意識の広がり」を受け、2004年に犯罪被害者等基本法が成立し、その後、様々な支援制度ができたものの、いまだに制度が十分活用されていないという。

 背景には、生活の支援や安全の確保などを定める関連条例の整備の遅れがあるという。条例を制定した市町村は、全国の約半分にとどまる(今年4月1日時点)。富山県内の15市町村は、いずれも制定していないのが実情だ。

 安田さんは「どんな人でも事件・事故に巻き込まれる可能性がある。しっかりと支える備えが地域社会に必要だ」と強調した。

 安田さんは、警察庁時代に「被害者対策要綱」の制定や「第3次犯罪被害者等基本計画」の策定に従事した。(平子義紀)

有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。

※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません