「迷惑だ」裏金疑惑の説明避け続ける安倍派幹部 自民全体に疑念の目

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与党担当キャップ・石井潤一郎

 かつて議員は「選良」と呼ばれた。辞書によれば「すぐれた人を選び出すこと。また、その選ばれた人」の意味である。議員の質の劣化が指摘され、その言葉は死語になったと言われて久しいが、重大な疑惑を問われても説明責任を果たさない安倍派議員の姿を目の当たりにしては、やはり死語だと思わざるを得ない。

 朝日新聞が報じた自民党最大派閥の安倍派による組織的な裏金作りの疑惑について、同派幹部で事務総長経験もある松野博一官房長官は会見で疑惑を問われても「政府の立場としてお答えを差し控える」と繰り返した。そのほかの幹部も、記者団の取材を避け続けた。食い下がって質問を重ねる記者を、ある幹部はこう言って、にらんだ。「迷惑だ。こんなことをされたら信頼関係がなくなる」。疑惑に向きあわない姿勢こそが国民との信頼関係を失わせているという自覚がないのだ。

 過去をひもとけば「政治とカネ」の問題は枚挙にいとまがない。ロッキード事件、リクルート事件、東京佐川急便事件……。20年近く前には、旧橋本派への1億円ヤミ献金事件もあった。事件のたびに政治は国民からあきれられ、首相退陣や政権交代につながる契機となった。それなのに、政界で消えたと思っていた「裏金」が再び現れたのはなぜか。

 権力を長く握り続けた、おご…

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この記事を書いた人
石井潤一郎
政治部|首相官邸取材キャップ
専門・関心分野
国内政治
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    岩尾真宏
    (朝日新聞名古屋報道センター長代理)
    2023年12月1日19時11分 投稿
    【視点】

    安倍派の塩谷立座長は、ノルマを超えた分をキックバックする仕組みについて、記者団の取材に「そういう話はあったと思う」といったん認め、収支報告書に記載せずに裏金化することは「ないと思う」と述べました。ところが、その後にキックバックの存在を認めた

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