週末かなう運転士の夢、映画に出たあの電車で 都会にはないのんびり

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木元健二
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 30秒ほどの勝負だ。

 ストップウォッチを片手に持ったベテラン運転士から、所要時間、停止位置、ブレーキ操作、衝動などの項目別に評価を受ける。

 「ばたでん」の愛称で知られる一畑電車の「体験運転」が人気だ。雲州平田駅(島根県出雲市)構内で毎週土日に開かれ、専用線120㍍を2往復。最後の復路がテストの場だ。

最古級の車両で疾走

 年明け最初の日曜日。関東や山口県から大人たちが集まった。大学教授の栃木直文さん(48)は、東京から月2回ほど参加するという。この日も日帰りで顔を出した。

 体験運転では、参加50回で制帽、100回でジャケット、200回で鉄道時計をもらえる。それらをすべてまとって運転に臨む。「何度やっても完璧とはいかない。そこがなんともいいんです」

 スピードは十数㌔ではあるが、33㌧の車体は走り出すと疾走感に包まれる。ウィーンとうなるモーター、線路からガタガタと響く音……。臨場感にあふれる体験を味わおうと、リピーターが引きも切らない。

 だが、鉄道会社のご多分に漏れず、一畑電車には逆風がやまない。乗降客の減少傾向に歯止めがかからない。

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