グーグル、カナダでニュース対価支払い合意 報道機関に年110億円

サンフランシスコ=五十嵐大介
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 米IT大手によるニュースの対価支払いをめぐる問題で、カナダ政府は29日、米グーグルが同国の報道機関に年間1億カナダドル(約110億円)を支払うことで合意したと発表した。6月に成立したオンラインニュース法の施行が12月19日に迫っていた。一方、米メタ(旧フェイスブック)は引き続き同法に反発している。

 カナダでは6月、グーグルやメタに対価支払いを促すオンラインニュース法が成立。報道機関側が公正な対価の支払いでIT企業と団体交渉することを認め、合意できない場合は当局の監督による仲裁手続きに入るよう義務づけている。

 カナダのセントオンジ遺産相は29日の声明で「今回の合意はニュース業界に恩恵を与え、グーグルはカナダ国民に信頼できるニュースを引き続き提供できる」と言及。グーグルは声明で「カナダ政府が我々の懸念に対応してくれたことに満足している」とコメントした。

 6月の法律成立後、反発したメタやグーグルはカナダでのニュース配信を停止すると表明。メタやグーグルは、カナダの一部の利用者を対象にニュースの閲覧や共有をできなくする実験を始め、混乱が広がった。

 一方、メタはカナダ政府との交渉に応じていないもようだ。同社は朝日新聞の取材に「検索エンジンと違い、我々はネット上のニュースを積極的に利用者のフィードに提供していない。法律に従う唯一の方法は、カナダでのニュース配信を止めることだ」とコメントした。

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この記事を書いた人
五十嵐大介
編集委員
専門・関心分野
テクノロジー、経済、グローバリゼーション