【COP28詳報】歴史的合意に歓声 化石燃料脱却へ行動加速の時

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 国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP28)が11月30日~12月13日、アラブ首長国連邦(UAE)のドバイで開かれました。記録的な高温で「地球沸騰化」と呼ばれた今年、異常気象や災害が頻発しました。戦争や国際対立が影を落とす中、国際社会は脱炭素社会に進む勢いを維持できるのか。現地で取材した記者が動きを追いました。(日付は現地時間)

開幕前(11月29日)

 今年は地球温暖化の影響の深刻さを世界中が体感しました。11月30日から始まる国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP28)は、加盟する198の国・地域が一堂に会する最も重要な意思決定の場です。どんなことが話し合われるのでしょうか。

 今年の大きな議題は、「グローバル・ストックテイク」と呼ばれる各国の温暖化対策の総点検です。温暖化対策の国際ルール「パリ協定」は、各国が削減目標を持ち寄る仕組みです。ただ、各国が自由に目標を設定でき、達成の義務もないため、取り組みを加速させる仕組みが必要です。それが今回の総点検で、気温上昇を産業革命前よりも1・5度に抑える世界目標に向けて正しく進んでいるか初めて評価します。この評価を踏まえ、各国は2025年に35年までの新たな目標を更新することになります。

 ただ、温室効果ガスはいまだに増え続けており、国連の報告書などでは、このままでは今世紀末に3度程度の気温上昇が予測されています。対策が足りていないことは明らかで、国連のグテーレス事務総長は、「世界がパリ協定からどれだけ離れているか示すことになる」と指摘しています。

 国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は、1・5度に抑えるには25年までに排出を減少させ、35年までに60%の削減が必要だと報告しています。パリ協定採択時の条約事務局長だったクリスティアナ・フィゲレス氏は「私たちが歩む道は綱渡りになる」としており、どれだけ強いメッセージが打ち出せるか注目されます。

 温暖化対策で期待されるのが、再生可能エネルギーの拡大です。議長国のアラブ首長国連邦(UAE)などは開幕に先立ち、再生可能エネルギーの設備容量を30年までに世界で3倍にするという誓約書への賛同を呼びかけています。日本は賛同する方針ですが、どこまで広がるか期待されます。

 一方で、温暖化の原因となる温室効果ガスを排出する石炭などの化石燃料を廃止する目標を入れるかどうかも論点です。21年に英国であったCOP26では石炭火力発電の「段階的廃止」が議論されましたが、中国やインドなどの反対で、最後に「段階的削減」にトーンダウンしました。今回、欧州連合などは「化石燃料の段階的廃止」といった、強い表現で合意するよう求めています。

 途上国支援も大きな論点です。昨年エジプトで開かれたCOP27では、途上国の長年の悲願だった温暖化によって生じた「損失と被害」を救済するための基金の設立で合意しました。COP28では、早くお金が使えるように、誰が資金を負担するのかなど詳細なルールを詰める必要があります。

 明るい兆しは、交渉の鍵をにぎる大排出国である米国と中国が11月に首脳会談したことです。近年緊張関係が強まっていましたが、メタンの排出削減や再エネの拡大で意見が一致しました。中国は多くの先進国と異なり、これまでの削減目標は二酸化炭素しか対象にしていなかったため、強力な温室効果ガスであるメタンを加えたことは前進と見られています。

 米環境保護局(EPA)のジーナ・マッカーシー元長官は「国際的な議論に大きな勢いをもたらすことができる」と期待をかけます。一方、英シンクタンクE3Gのオルデン・マイヤー氏は「米中はまとまる部分とそうでない部分がある。内容の議論はまだまだ必要だ」と指摘しています。

 会期は12日までの予定です。(市野塊)

■1日目(11月30日)…

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    蟹江憲史
    (慶應義塾大学大学院教授)
    2023年12月6日14時25分 投稿
    【視点】

    今回の記事のように毎日の動向を報じてもうのは大変良いことだと思います。ようやくこのような記事が出るようになったことは、気候変動をめぐる各国の複雑な立場を理解するうえでも大変良いものだと思います。  ちなみに、国連事務局と連携している記

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