1社だけに異例の補助金1兆円 半導体復権へ、支援合戦に加わる日本

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冨名腰隆 奈良部健 榊原謙=ワシントン 寺西和男=ベルリン 大日向寛文
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 政府が臨時国会に提出した13・1兆円の2023年度補正予算案のうち、1割以上を占めるのが半導体産業への支援だ。半導体を「戦略物資」と位置づけ、国内生産の強化に前例のない巨費を投じている。欧米と比べて手厚い補助ともいえいるが、「国丸抱え」で民間事業を支える構図には、危うさがつきまとう。

 13日、米サンフランシスコ。アジア太平洋経済協力会議(APEC)にあわせて訪米した西村康稔経済産業相は、エヌビディアやマイクロソフトなど世界的な半導体・AI企業の幹部と日米連携について意見交換する場を設けた。

 米側から7社を招いた一方、日本側から参加が認められたのは1社のみだった。トヨタ自動車を筆頭に名だたる企業が出資し、官民合同で次世代半導体の国産化をめざす「ラピダス」。日本の半導体復活をかけた国策会社だ。

 経産省によると、同社の小池淳義社長は27年の量産開始へ計画が順調に進んでいることや、米西海岸に事業拠点を置くことなどをアピール。呼応するように西村氏は「世界最先端の技術の粋を集めて挑戦するのがラピダス。政府としてしっかり応援していく」と、記者団に語った。

国費1兆円 前例なき巨額投入

 今年度補正に盛り込まれた半導体産業への支援は、約2兆円にのぼる。際立つのが、ラピダスへの支援で、国の基金に最大6773億円が積み増される。すでに3300億円の補助は決まっているため、国費で1兆円規模が投じられる。

 投資額5兆円とされる巨大プ…

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この記事を書いた人
冨名腰隆
政治部次長|政党担当
専門・関心分野
日中外交・安全保障、日本政治、中国政治
奈良部健
サンフランシスコ支局長
専門・関心分野
テック、インド、財政と政治、移民難民、経済安保