AIと立体地図で古墳発見 兵庫県内34カ所、奈文研の主任研究員ら
AI(人工知能)と兵庫県の3次元の立体地図を使って古墳を見つける手法を奈良文化財研究所(奈良市)の高田祐一主任研究員らのグループが開発した。たつの市と豊岡市の山中で34カ所の古墳や寺院跡などを新たに発見しており、今後も全国各地の山中などで活用できないか検討するという。
県は3次元の立体地図をホームページで公開しており、この地図にある約7千カ所の古墳の特徴的な形状をAIに学ばせた。ほかに同じような形状の場所が立体地図にあるかどうかをAIに探させたところ、1342カ所を古墳の候補地として挙げたという。
豊岡市とたつの市で候補地が多かった。高田主任研究員らは両市の担当者らと協力して今年2~9月に現地調査。その結果、両市で新たに34カ所の古墳や寺院跡などが見つかった。
たつの市の標高約180メートルの山中では、直径約15メートルの円墳を発見。6世紀に造られたとみられ、縦約6メートルの石室もあった。また、同市内の円墳だと考えられてきた古墳が前方後円墳だったことも判明した。
豊岡市の標高約500メートルの山中では、14世紀ごろのものとみられる寺院跡を確認。付近を人為的に平地にしたとみられ、井戸の跡と考えられる石組みなども残っていたという。
古墳の発掘調査は公共工事などに伴い実施されることが多く、山間部などでは未発見の古墳も多いとみられている。高田主任研究員は「AIと立体地図を組み合わせれば、古墳を効率的に発見できることが分かった。さらにAIの精度を高めたい」と話す。
研究成果は奈文研のホームページで10月下旬に公開された。たつの市教育委員会の担当者も「県内でも今後、新たに古墳が見つかるのではないか」と期待する。
立体地図を公開した県の担当者は「古墳の発見だけでなく、防災やドローンのルートの計画など、様々なことに立体地図を活用してもらえれば」としている。