ヤングケアラーだった私が「ケアのデザインストア」をつくるまで

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 手の力が弱くても使いやすい木製の箸。皿のふちに「返し」があり、すくいやすい磁器のカレー皿。「ケアのデザインストア ねんりん」は、介護が必要になっても使いやすく、美しい製品を集めたオンラインショップだ。

 運営するのは、一級建築士事務所を営む簾藤麻木(すとうまき)さん(40)。神奈川県逗子市で両親と祖母の4人で暮らしていた7歳のころ、同居する祖母がパーキンソン病を発症し、在宅介護が始まった。病気で手が震え、足が出にくい祖母の車の乗り降りを支え、中学生になると歯磨きや排泄(はいせつ)などの介助もした。

 「ヤングケアラーという言葉はまだありませんでしたが、自分はそうだったんだなと今は思います」

 おしゃれが好きな祖母は、食事のときにつける介護用のエプロンを特に嫌がった。汚れにくい化繊でできた、無機質なデザイン。「これをつけるなら人前で食事はしたくない」と外出を拒み、引きこもりがちになった。

 あるとき、きれいなハンカチ…

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