ガザの未来「米とイスラエルで決めるな」 パレスチナ副首相単独会見

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ラマラ=高久潤

 戦闘が終わった後、ガザをどうするのか――。

 イスラエル軍とイスラム組織ハマスの軍事衝突が続くパレスチナ自治区ガザをめぐり、「戦後」のガザの行方について、イスラエルと最大の後ろ盾である米国との首脳間で、意見の違いが表面化している。イスラエルのネタニヤフ首相は、戦後もガザの治安管理に関わる意向を示し、もう一つのパレスチナ自治区・ヨルダン川西岸地区を統治するパレスチナ自治政府がガザの統治を担うことを否定。一方、米国のバイデン大統領はパレスチナ自治政府による統治が望ましいという考えを示している。

 パレスチナ自治政府はどう考えるのか。ヨルダン川西岸地区の自治政府議長府で、アッバス議長の報道官を務めるナビル・アブルデイナ副首相が朝日新聞の単独インタビューに応じ、約40分にわたって語った。

 ――イスラエルがハマスを壊滅させた後、ガザの統治をパレスチナ自治政府が担うことを望む意見が米国などから出ています。自治政府に、ガザを統治するつもりはありますか。

 ネタニヤフ氏は、自治政府にガザを統治させるつもりはないと言っています。イスラエルは今、圧倒的な軍事力でハマスという小さな組織の壊滅をめざしている。ただ私たちは、巨大な軍隊で小さな組織を完全に破壊しきることはできないと考えています。

 そもそも、パレスチナ自治政府はガザの統治に今も関わっているといえます。確かに、ガザはハマスが支配しているように見えるでしょう。ですが、私たちはガザの人たちのための予算を確保し、ガザにお金を送っています。

 加えて、米国は2006年の選挙(パレスチナ自治政府の国会にあたる評議会の議員選挙。この選挙でハマスが大勝。米国やイスラエルはこの結果を認めず、その後、ハマスはガザを武力制圧した)の後、ハマスによるガザ支配を事実上認めてきました。

 ハマスがガザにいるのはパレスチナだけの問題ではなく、米国やイスラエルも関わってきたことです。それなのに、今さら、まったく知らないとんでもない組織が突然現れたかのように言うのは、自分たちの責任を無視する物言いでしょう。

ガザだけを議論するつもりはない

 その上で、ガザを何らかの理…

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この記事を書いた人
高久潤
エルサレム支局長
専門・関心分野
グローバリゼーション、民主主義、文化、芸術
イスラエル・パレスチナ問題

イスラエル・パレスチナ問題

イスラム組織ハマスが2023年10月7日、イスラエルに大規模攻撃を行いました。イスラエルは報復としてハマスが実効支配するパレスチナ自治区ガザ地区に攻撃を始めました。最新のニュースや解説をお届けします。[もっと見る]