第1回幸せへの権利 守られている? 「生きる」教育で小3が8時間考えた

有料記事「生きる」教育

編集委員・大久保真紀
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 「権利って何?」

 大阪市立田島南小学校3年1組。9月、別所美佐子先生(53)が子どもたちに問いかけた。

 「お前にはないと言われた」とケンさん。エリさんは「アニメの中で聞いた」。

 「だれもが安心して生きていくことができる権利があります」と別所先生。「同時に責任もあります」

 田島南小で行われている「生きる」教育の1コマだ。

 3年生は、8時間かけて子どもの権利条約について学ぶ。条約ができたのは1989年。一方で、日本が条約を批准したのは94年で、世界で158番目だと説明されると、ハルトさんが「めちゃくちゃ遅いやん!」と声を上げた。

めっちゃいいなと思う権利は?

 子どもたちは「どんな権利があると思う?」と問われると、「戦争がない」「安全に暮らす」「ごはんが食べられる」「幸せで平和」など次々と発言した。

 別所先生は6ページの「子どもの権利条約ハンドブック」を配り、1条から40条までの権利を説明。「君たちを守ってくれる権利はこんなにあるよ」と話した。このハンドブックは子どもたちのバイブルになる。

 「めっちゃいいなと思う権利は何?」。別所先生が尋ねると、ケンタさんが「6条、生きる権利・育つ権利」と口火を切る。続けて、マミさんが「9条、親と一緒にいる権利」、シュンさんが「19条、親から虐待されない権利」などと発言した。

 学校には、近くの児童養護施設「田島童園」から通う子どももいる。虐待などの理由で親と一緒に暮らせない子どもたちだ。

「生きる」教育は、大阪市立生野南小学校(現・田島南小)で開発された、独自の教育プログラムです。自己肯定感を高め、自分と相手を大切にする方法を学ぶことを目指しています。9、10月に各学年で行われた授業を取材しました。9回にわたってお届けします。

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 別所先生はさりげなく、親と…

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