中国禁輸でピンチ、青森の陸奥湾産ホタテを応援 伊那市職員が購入
安田琢典
東京電力福島第一原発の処理水の海洋放出に合わせた中国による禁輸措置で、青森県むつ市の陸奥湾でとれるホタテの輸出が滞った。打撃を受けた漁業者らを応援しようと長野県伊那市の職員たちがホタテを大量に購入した。遠く離れた両市の縁は、江戸時代の会津藩にあった。
17日午後、伊那市役所に冷凍されたホタテの稚貝「ベビーホタテ」のむき身250袋が届いた。1キロ入り2千円。購入を希望したのは市職員ら200人。5袋購入した白鳥孝市長は「なかなか陸奥湾でとれたホタテは食べられない。楽しみだ」と笑った。
江戸幕府2代将軍徳川秀忠の庶子だった保科正之は、幼少時代を伊那市にあった高遠藩で過ごした。正之が後に福島県会津若松市の会津藩主を務めた縁で、伊那市と会津若松市は「親善交流」を結んでいる。
一方でむつ市は、戊辰戦争に敗れた会津藩士らが逃れた先で立ち上げた斗南藩があった場所。会津若松市で行われる「会津まつり」の前夜祭には、会津藩と関わりがあった各地の自治体の首長らが集まって親交を深める催しがあるという。
今年9月22日の前夜祭には全国11市町の首長らが集まり、席上でむつ市の山本知也市長がホタテを取り巻く現状を説明したところ、白鳥市長の音頭で参加者がこぞって購入を申し出たという。白鳥市長は「科学的には問題ない海産物。輸出できなくて困っているむつ市を助けたいと思った」と話した。
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