国大法改正案、先送り 17日に採決へ 反対派は院内集会で廃案訴え

山本知佳
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 一部の大規模な国立大学に運営方針の決定などを行う合議体の設置を義務づける国立大学法人法の改正案をめぐり、与党がめざした15日の衆院文部科学委員会での採決は行われず、先送りとなった。大学の自治を守るよう求める付帯決議を付け、17日の文科委で可決する見込みだ。

 改正案では、外部有識者も想定する3人以上の委員と学長でつくる運営方針会議の設置を、一部の大規模な国立大に義務づける。会議は中期目標や予算について決定し、委員の任命には文部科学相の承認が必要だ。

 改正案は、大学教員らから反対の声が上がっている。14日には、衆院議員会館で大学教員の団体らが集会を開き、改正案の廃案を訴えた。

 参加者の一人で東京大の本田由紀教授は、外部有識者が運営方針会議に入ることで、「委員の所属や経歴で、組織外の恣意(しい)的な利害が大学の予算や計画に介入する危険がある」と主張。さらに教育基本法には大学の自主性、自立性の尊重が明記されていると指摘し、「今回の法案は教育基本法に抵触する」と訴えた。

 集会には、野党の国会議員7人も参加。「委員にまで文科相の承認を求めるのはやりすぎ。長い目で見れば学問の自由や大学の自律を犯してしまうのでは」などと意見を述べた。(山本知佳)

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