福島原発の作業員、汚染廃液あびる事故はなぜ起きたのか 重なる不備
東京電力福島第一原発で10月、多核種除去設備(ALPS=アルプス)の配管を洗浄していたところ、高濃度の汚染廃液が飛び散り、作業員の男性2人が体に浴びて入院する事故が起きた。
この配管は、ALPSを運転するたびに汚染水が通り、塊がたまるため、洗浄作業は「何度も経験している」(東電)という。それなのに、なぜ事故は起きたのか。
作業員の体の汚染、最大で基準の190倍超
「作業員の身体汚染について皆様にご心配、ご不安をおかけしたことをおわび申し上げる。原因を追究し、再発防止対策をしっかりと講じる」
東電福島第一廃炉推進カンパニーの小野明代表は10月26日の記者会見で、前日に起きた事故に触れて、こう陳謝した。
東電によると、事故は10月25日午前10時40分ごろ、大半の放射性物質を除去するALPSの建屋で発生した。配管に洗浄用の薬液を入れ、出てきた廃液をホースでタンクに流す作業中、タンクからホースが抜けて数リットル分の廃液が飛び散ったという。
現場にいた作業員5人のうち、近くにいた2人が廃液を浴びた。体の表面の汚染密度を測ると、20代男性は最大で退出基準(1平方センチあたり4ベクレル)の190倍を超え、40代男性は基準の5・7倍の汚染が確認された。
2人は防護服を着ていたが…