生誕190年の木戸孝允、山口のゆかりの地で企画展
維新の三傑の一人、木戸孝允(1833~77)の企画展が山口市のゆかりの場所などで開かれている。生誕190年や、木戸が副使として米欧を歴訪した岩倉使節団の帰国150年を記念したもので、近代日本を代表する政治家の足跡をたどることができる。
十朋亭維新館では、生誕190年の企画展が開かれている。同館の敷地内にある市指定史跡の「十朋亭」は江戸時代にしょうゆ製造業をしていた萬代家の離れで、長州藩士らが藩の「御用宿」として利用し、木戸も立ち寄っていたとみられる。
木戸と萬代家は親密な仲だったようだ。5代当主の利兵衛と弟の甚七が鹿児島に向かう木戸に同行して長崎まで行き、甚七はそのまま鹿児島まで随行した話が伝わる。また、「木戸孝允日記」の明治元年の記載に「萬代屋等と別飲」とある。
今回の展示は、木戸が記した詩や大村益次郎に宛てた書状など27点が並ぶ。明治に入り、木戸が東京や京都に滞在するようになって以降、萬代家は山口での木戸の金の管理をしていたといい、「先に二千(円)と記したのは金千(円)の間違いなので安心するように」としたためた利兵衛宛ての書状がある。
山口市菜香亭では、企画展「岩倉使節団と木戸孝允~菜香亭創業前夜~」が開催中。菜香亭は木戸が亡くなった1877(明治10)年に開業した料亭だが、初代主人は藩の料理人を務めていた。
維新の元勲を始め、軍人、首相ら山口県内外の要人の書が常設されており、木戸の扁額(へんがく)もある。1階大広間上の間に「清如水平如衡」(きよきことみずのごとく たいらかなることはかりのごとし)と中国の史書「宋史」の一節を揮毫(きごう)した書が掲げられている。
企画展は、使節団に参加し、菜香亭に書が残されている木戸や伊藤博文、山田顕義らを等身大パネルなどで紹介している。
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十朋亭維新館(山口市下竪小路)の企画展「木戸孝允生誕190年 大道行くべし」は12月25日まで。11月12日、25日、12月10日の午後1時半から立石智章学芸員によるギャラリートークがある。同月3日午前10時から、通常非公開の萬代家主屋2階や杉私塾2階などを見学できるバックヤードツアーを開催。先着5人。問い合わせは同館(083・902・1688)へ。
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菜香亭(山口市天花1丁目)の企画展「岩倉使節団と木戸孝允」は12月25日まで。下関市職員で歴史に詳しい「たなか~る先生」こと田中洋一さんが、木戸のパリ滞在時のエピソードなどを紹介する講演「木戸孝允の『感動体験記』」が同月2日午前10時からある。会費は500円(弁当・お茶の希望者は1500円)で、事前に菜香亭(083・934・3312)へ申し込む。
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