被害告白は「神への裏切り」 精神科医が指摘する宗教の性暴力の構図

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聞き手・島崎周

 キリスト教系新宗教「ものみの塔聖書冊子協会(エホバの証人)」の元2世信者らでつくる団体「JW児童虐待被害アーカイブ」が、教団内での性被害やハラスメントについてアンケートを実施し、結果をとりまとめた。

 役職がある信者から未成年が受けた性被害や、性行為を告白するよう強要されたなど、159件の被害申告が寄せられた。

 この結果について、性暴力被害者の治療をしている精神科医の白川美也子さんに聞いた。

    ◇

 性暴力や性的虐待の加害者は、どの職種にも、どの社会階層にも一定の数存在する。多くの性暴力の被害者に接してきた中で、カトリックやプロテスタント、エホバの証人も含めたキリスト教系、仏教、いわゆる新宗教やカルトなどの聖職者や教祖が加害者の事例に出合ってきた。

 性被害は様々な力(パワー)の格差のあるところで起きる。拒絶が困難なためだ。その意味で、宗教の中で性被害は起こりやすいと考えている。また被害が起きたとしても、開示できず、隠蔽(いんぺい)されやすい性質をもっている。

これだけの人数、声をあげられたことに驚き

 今回のアンケートを見て、これだけの人数が声をあげることができたことに驚いた。社会的に性被害を開示してもいいという流れのなかで起きた現象だと思う。あくまで氷山の一角に過ぎないだろうが、実態把握のための第一歩として大きな社会的意義がある。

 その被害の構図にはおおむね…

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この記事を書いた人
島崎周
東京社会部|文部科学省担当
専門・関心分野
性暴力、性教育、被害と加害、宗教、学び、人権