世帯収入半減「子ども夢追えない」 妻が過労死、遺族年金受け取れず
夫が主たる稼ぎ手だから、労災で夫を亡くした方が遺族補償年金も手厚く――。妻に先立たれ、子ども3人を育ててきた東京都に住む会社員の男性(54)が、そんな制度に一石を投じようとしている。
遺族補償年金の受給要件として妻は年齢を問わないのに、夫は55歳以上と制限している労働者災害補償保険法(労災保険法)の規定は、法の下の平等を定めた憲法14条に違反するとして近く行政訴訟を東京地裁に起こす。
弁護団は、近年の女性の就労環境をめぐる変化は大きいと訴えている。
「法律ってこんなに古いんだ。違和感がある」
妻(当時51)を過労死で亡くし、7日に記者会見した会社員の男性(54)は、自らが遺族補償年金の請求人となれない労災保険法の規定に驚きを隠さない。
妻がくも膜下出血で倒れたのは2019年6月で過労死だった。男性は当時49歳だった。同法では、過労死したのが夫の場合は妻は年齢に関係なく遺族補償年金を受け取れるのに、妻だった場合は夫が55歳未満だと年金を受け取ることができない規定となっている。
男性は共働きで子ども3人を…
- 【視点】
「夫が稼ぎ妻を扶養する」という男性稼ぎ主モデルは、実態にそぐわないと言われつつ、法律による規定は今なお根強く残っています。遺族補償年金の受給要件での夫の年齢制限、遺族厚生年金に加え、男女の賃金格差を生み出す要因の一つに挙げられる「年収の壁」
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