労災で妻亡くした夫は遺族年金受け取れず 「男女格差は違憲」提訴へ

有料記事

北川慧一
[PR]

 妻を亡くした男性より、夫を亡くした女性に手厚い労働者災害補償保険法の規定は法の下の平等を定めた憲法14条に違反するとして、東京都の男性会社員(54)が近く行政訴訟東京地裁に起こす。「夫は仕事、妻は家事」との考えに基づき半世紀以上続く規定で、男女格差がある遺族補償制度のあり方を問う。

 男性の弁護団が7日、記者会見で発表した。

 遺族補償年金の男女格差をめぐっては、地方公務員災害補償法の同種規定について2017年に最高裁が「合憲」と判断した。しかし、弁護団は共働き世帯の増加や男女の賃金格差の縮小などを背景に「状況が変わった」と判断、改めて違憲性を問えるとした。労災保険法でこの規定をめぐる訴訟は初めてとみられる。

 男性の妻(当時51)は労働者協同組合に勤務。東京西部や山梨県の施設を運営する部門を統括していた。19年6月にくも膜下出血で死亡した。遺族は22年3月に八王子労働基準監督署に労災申請した。亡くなる前の3カ月間の時間外労働が平均60時間を超える長時間労働があったなどとして、23年3月に労災と認定された。

 労災保険法によると、遺族補償年金を受け取るのが妻の場合、年齢に関係なく毎年受け取れる。一方、夫の場合は原則60歳以上から受け取れ、妻の死亡時に55~59歳だと60歳以降に受け取れるようになる。55歳未満だと平均給与の1千日分の一時金などだ。弁護団の試算では、年金の方が一時金より3・5倍(将来の利息分を除く)の金額を受け取れるという。

 男性は今月6日に八王子労働…

この記事は有料記事です。残り93文字有料会員になると続きをお読みいただけます。

※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません