「NFT」で昆虫標本をデジタル資産に 総本山の学生が挑む壮大な夢

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安田朋起

 学術的に貴重な標本の維持費用を、どうまかなうか――。

 国内最多の昆虫標本を持つ昆虫学の総本山、九州大の学生たちが、そんな難題の解決に挑んでいる。保管庫に眠る標本から収益を生み出し、社会を変えていくという壮大な夢を描いている。

 九大は100年以上の昆虫研究の歴史があり、蓄積された昆虫標本は400万点以上。種の基準となる「タイプ標本」という貴重なものも3500点以上と国内最多だ。

 ただし、標本は劣化を防ぐため、温度や湿度を適切に保つ必要がある。維持管理のための光熱費や資材費、人件費などが年に1千万円ほどかかるという。

 標本で収益をあげるには、展示会や写真集の発行が考えられるが、それだけで十分な資金を集めるのは難しい。

 そこで、この問題に関心があった大学院生の浅見昂志(こうし)さん(23)が注目したのが、「NFT(非代替性トークン)」と呼ばれるデジタル技術だ。

 NFTは、暗号資産にも使わ…

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この記事を書いた人
安田朋起
鹿児島総局長
専門・関心分野
再エネ、原発、環境、災害、持続可能性