大企業の人件費割合「労働分配率」、半世紀で最低 賃上げまだ余裕?

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米谷陽一
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 企業が人件費をどのくらい払っているかを示す「労働分配率」が、大企業はこの50年で最低水準に落ち込んでいることがわかった。財務省が公表する法人企業統計のデータを分析したところ、大企業ほど人件費に回すお金を抑えていた。中小企業は比較的お金をかけているが、今後は生産性を上げないと賃上げもままならないと、専門家は指摘する。

 労働分配率は企業の経営状態を測る指標の一つ。企業が生み出した付加価値(役員と従業員の人件費、経常利益、賃借料、税金や利払い費、減価償却費の合計)のうち、人件費が占める割合のことで、値が高いほど人への配分が厚いといえる。

 日本全体の傾向を探るため、財務省がまとめた2022年度の法人企業統計をもとに、企業の規模ごとの労働分配率を算出した。

 金融・保険業をのぞく全産業の労働分配率は53・7%で、前年度より1・0ポイント下がった。過去50年間の平均(58・8%)から遠ざかり、人件費にあまりお金を回さなくなったといえる。

 顕著なのは資本金10億円以…

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    小熊英二
    (歴史社会学者)
    2023年11月6日9時26分 投稿
    【視点】

    日本では企業規模が大きいほど労働分配率が低い。逆に資本金一千万円未満の小企業は分配率80%前後で、賃上げの余地があまりない。下請多重構造のため小企業には「割りの悪い仕事」、つまり手間がかかる割には利益の少ない仕事しか回ってこないためだともい

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    中島隆
    (朝日新聞編集委員=中小企業の応援団長)
    2023年11月6日7時0分 投稿
    【視点】

     大企業は、さもありなん。経団連のエラい人たちが「最高の賃上げだ。賃上げを続けなくては」などと言っていたって心に響かない理由を、しっかりデータとして示してくださいました。  ある町工場の経営者は言っていました。「うちの労働分配率は、もうすぐ

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