大企業の人件費割合「労働分配率」、半世紀で最低 賃上げまだ余裕?
米谷陽一
企業が人件費をどのくらい払っているかを示す「労働分配率」が、大企業はこの50年で最低水準に落ち込んでいることがわかった。財務省が公表する法人企業統計のデータを分析したところ、大企業ほど人件費に回すお金を抑えていた。中小企業は比較的お金をかけているが、今後は生産性を上げないと賃上げもままならないと、専門家は指摘する。
労働分配率は企業の経営状態を測る指標の一つ。企業が生み出した付加価値(役員と従業員の人件費、経常利益、賃借料、税金や利払い費、減価償却費の合計)のうち、人件費が占める割合のことで、値が高いほど人への配分が厚いといえる。
日本全体の傾向を探るため、財務省がまとめた2022年度の法人企業統計をもとに、企業の規模ごとの労働分配率を算出した。
金融・保険業をのぞく全産業の労働分配率は53・7%で、前年度より1・0ポイント下がった。過去50年間の平均(58・8%)から遠ざかり、人件費にあまりお金を回さなくなったといえる。
顕著なのは資本金10億円以…