「地獄広がるガザ、行動問われる世界」 UNRWAトップが寄稿

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 パレスチナ自治区ガザ地区を実効支配するイスラム組織ハマスとイスラエル軍の軍事衝突は、民間人に多くの犠牲をもたらしました。1950年からパレスチナ難民を支援する国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)でトップを務めるフィリップ・ラザリーニ事務局長が、ガザ地区の現状や自身の思いについて、朝日新聞に文章を寄せました。

     ◇

 耐えがたい、人間の悲劇を伝える映像がガザ地区から流れ続けている。

 女性や子ども、高齢者が殺され続けている。病院や学校も爆撃を受けた。なにものにも、容赦はない。悲しいことに、UNRWAのスタッフは53人が命を奪われた。その多くは、自宅で家族といるところを殺された。

 地球上で最も過密な場所の一つであるガザ地区の複数の地域が、民間人の存在を無視するかのように、完全に破壊されている。イスラエル軍はガザ地区北部に爆撃をするからと、パレスチナ人にガザ地区の南部へ移動するよう警告している。しかし、爆撃は南部でも続いている。ガザに安全な場所はない。

 64万人近くの人びとが、UNRWAの運営する学校や建物に避難している。清潔な水は限られ、食料や医薬品はほとんどない不衛生な環境で暮らしている。

 母親たちは、どうやって子どもたちを清潔な状態にすればいいのかわからない。妊婦たちは、出産時に合併症を起こさないように祈っている。病院には、彼女たちを受け入れる余裕がないからだ。

UNRWAの施設も爆撃の被害に

 私たちの建物に全員が身を寄…

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イスラエル・パレスチナ問題

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