池袋暴走事故、運転の受刑者側に1億4千万円の賠償命令 東京地裁

遠藤隆史
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 東京・池袋で2019年に起きた乗用車の暴走事故で、妻子を亡くした松永拓也さん(37)ら遺族が、車を運転していた飯塚幸三受刑者(92)=禁錮5年の実刑判決が確定=と保険会社に計約1億7千万円の損害賠償を求めた訴訟で、東京地裁(平山馨裁判長)は27日、受刑者側に約1億4600万円の支払いを命じる判決を言い渡した。

 判決は、飯塚受刑者には運動機能の低下を伴う持病があり、「運転は最小限度とするよう医師から指導されていた」と指摘。それでも運転を続けた結果、アクセルとブレーキを的確に操作するという最も基本的な注意義務に違反して2人の命を奪ったと認定し、死亡慰謝料や逸失利益などを支払うよう命じた。

「ひとまずの道義的な謝罪すらせず」

 判決は、飯塚受刑者が「ひとまずの道義的な謝罪すらしないまま、刑事事件で相応の証拠が出そろった後も過失を認めず、不合理な弁解を続けた」と指摘。「刑事手続きで防御権が保障されていることを踏まえても、遺族の心情を逆なでする行為で、被害者側が受け入れるに足るだけの真摯(しんし)な謝罪がされていないことは、慰謝料算定の重要な事情だ」と述べた。

 確定した場合は保険会社が支払うことになる。

 判決を受けた会見で松永さんは「(受刑者の)病気と事故の因果関係を認めてもらえた。(妻と子には)『争い事は終わったよ』と伝えたい」と話した。

 事故は19年4月に発生し、松永さんの妻真菜さん(当時31)と長女莉子ちゃん(同3)が死亡。旧通産省工業技術院元院長の飯塚受刑者は自動車運転死傷処罰法違反(過失運転致死傷)の罪に問われた。東京地裁は21年、受刑者がブレーキとアクセルのペダルを踏み間違えて赤信号の交差点に突入したと認定し、禁錮5年の実刑判決を言い渡した。受刑者が控訴せず確定した。遠藤隆史

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