マニアックな本が売れるコンビニ 店主「立ち読み客に声かけたい」
机美鈴
コンビニに置かれる本といえば漫画や雑誌のイメージだが、奈良県天理市の「セブンイレブン天理成願寺町店」の黒い本棚には、ひとくせもふたくせもある本たちが並ぶ。とはいえ、コンビニチェーンは統一感のある店構えや品ぞろえが求められる。オーナーの楢原高志さん(46)は個性と統一性の両立に挑み続けている。
最近の売れ筋は、県出身の歌人・前川佐美雄の歌集。ベストセラーとはひと味違う本が売れ、うわさを聞いた出版や編集かいわいの人間が東京からやってくる。「話題になるほど、実売は上がっていないのですが……」
楢原さんは社長秘書をしていたが、販売業をしたい一心で2015年に転職。縁もゆかりもない天理でコンビニ店のオーナーになった。県道沿いの立地ではあるものの、周りにあるのは古墳ばかり。集客にあえぐ中、開店4年目に始めたのが地域の農産物の販売だった。
最初の2年はまるで手応えなし
包装やアレルギー表示など…
- 【視点】
春がすみいよよ濃くなる真昼間のなにも見えねば大和と思へ 前川佐美雄 春霞(はるがすみ)が真昼になるとさらに濃くなり、景色が何も見えなくなる。そんなときこそ、そんな様子にこそ大和(奈良という地)の趣を感じるのだと。前川佐美雄(まえかわ
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