マニアックな本が売れるコンビニ 店主「立ち読み客に声かけたい」

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机美鈴
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 コンビニに置かれる本といえば漫画や雑誌のイメージだが、奈良県天理市の「セブンイレブン天理成願寺町店」の黒い本棚には、ひとくせもふたくせもある本たちが並ぶ。とはいえ、コンビニチェーンは統一感のある店構えや品ぞろえが求められる。オーナーの楢原高志さん(46)は個性と統一性の両立に挑み続けている。

 最近の売れ筋は、県出身の歌人・前川佐美雄の歌集。ベストセラーとはひと味違う本が売れ、うわさを聞いた出版や編集かいわいの人間が東京からやってくる。「話題になるほど、実売は上がっていないのですが……」

 楢原さんは社長秘書をしていたが、販売業をしたい一心で2015年に転職。縁もゆかりもない天理でコンビニ店のオーナーになった。県道沿いの立地ではあるものの、周りにあるのは古墳ばかり。集客にあえぐ中、開店4年目に始めたのが地域の農産物の販売だった。

最初の2年はまるで手応えなし

 包装やアレルギー表示など…

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この記事を書いた人
机美鈴
奈良総局|県政・教育担当
専門・関心分野
ジェンダー、性、動物福祉、化学物質過敏症
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    杉田菜穂
    (俳人・大阪公立大学教授=社会政策)
    2023年10月27日0時13分 投稿
    【視点】

    春がすみいよよ濃くなる真昼間のなにも見えねば大和と思へ  前川佐美雄 春霞(はるがすみ)が真昼になるとさらに濃くなり、景色が何も見えなくなる。そんなときこそ、そんな様子にこそ大和(奈良という地)の趣を感じるのだと。前川佐美雄(まえかわ

    …続きを読む