完全封鎖のガザ「水のボトル一本も入らず」 病院は崩壊の瀬戸際に

有料記事イスラエル・パレスチナ問題

イスタンブール=高野裕介 エルサレム=武石英史郎
【動画】ガザの病院が医療品と電力の不足に直面=ロイター

 イスラム組織ハマスを壊滅するとして、イスラエル軍が攻撃を強めるパレスチナ自治区ガザ地区で、医療が崩壊の瀬戸際に立たされている。病院の多くはイスラエル軍からの退去要求に応じず稼働を続けているが、治療に必要なあらゆる物が底を突きかけている。

 「薬、電気、水のすべてが足りない。病院が、あと3日以上持ちこたえられるとは思えない」

 イスラエル軍が退避の警告を出し続けているパレスチナ自治区ガザ地区の北部にいる救急隊員の30代男性は15日夜、朝日新聞の電話取材に危機感をあらわにした。

 男性によると、患者を搬送しているコッズ病院では、イスラエル軍の空爆が始まった後、近くに爆撃があった。過去2日間で4人の救急隊員が死亡し、イスラエル軍の攻撃を受けて使えなくなった救急車もある。病院はけが人であふれかえり、外で治療に当たる医師や看護師もいる。新たな重傷者を受け入れるため、回復する前に退院させられる患者も多い。

 最大の問題は、病院の発電機を動かすためのディーゼル燃料がまもなく底を突くことだ。救急車の燃料もなくなる。イスラエル軍はガザ地区南部への移動を求めるが、男性は「燃料がないのに患者の搬送なんてできない」と憤る。

「もし良心が生きているのなら助けて欲しい」

 イスラエルが9日に始めたガ…

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この記事を書いた人
武石英史郎
アジア総局長|東南アジア・南アジア・太平洋担当
専門・関心分野
アジア、グローバルサウス
イスラエル・パレスチナ問題

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