子どもが遊ぶ権利、軽視されてない? 条例案撤回でも…識者の危惧

有料記事

聞き手・松本千聖

 子どもだけで公園で遊んだり登下校したりすることを禁じるとした、埼玉県虐待禁止条例改正案。批判を浴びて撤回されたものの、子どもの「遊び」の観点でも問題が大きかったとして、「子どもの遊ぶ権利のための国際協会(IPA)」日本支部などが声明を発表した。代表で神戸女子大教授の梶木典子さんは、「子どもの遊びが軽視される今、こうした子どもに対する権利侵害はどこでも起こりえる」と語る。

 ――IPAはどのような団体なのでしょうか。

 国連児童基金(ユニセフ)などの諮問団体にもなっている国際NGOです。

 子どもの遊ぶ権利は、子どもの権利条約31条に定められ、批准国はそのための平等な機会を提供することになっています。IPAは、遊ぶ権利の保護や促進のために活動し、メンバーは60カ国に及びます。

秘密基地や冒険遊び 大人の保護下では…

 ――今回の改正案について、声明では何を問題視していますか。

 一つは、子どもが「遊び育つ」という観点の欠如です。子どもが育つためには、ただ安全な場所に囲って保護しておくだけでは不十分です。

 子どもは、異年齢の子どもの集団「子ども社会」の中で、遊びを通して思いやりやルールを知り、自己や他者を認識しながら大人になっていきます。

 改正案のような環境になったら、子ども社会の中で自由に遊べなくなり、本能的に欲する遊びの時間が阻害されてしまいます。

 ――大人の保護下にいるだけでは、本来の遊びはできないのですね。

 そもそも秘密基地づくりや冒険ごっこは子どもが大好きな遊びですが、大人がいたらその楽しさは激減してしまいますよね。

 大人は少しでも危ないとすぐ…

この記事は有料記事です。残り1128文字有料会員になると続きをお読みいただけます。

※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません

この記事を書いた人
松本千聖
くらし報道部
専門・関心分野
がん、子どもや女性の健康、子育て