反イスラエルの声広がる中東 市民感情に配慮 神経とがらせる国も

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イスタンブール=高野裕介 エルサレム=武石英史郎

 パレスチナ自治区ガザ地区のイスラム組織ハマスとイスラエルとの大規模な軍事衝突で、米欧諸国がイスラエル支持を鮮明にするなか、中東の国々ではパレスチナ擁護の声が強まっている。しかし、中東では一部でイスラエルとの関係改善が進んでいたことから、市民の間で反イスラエル感情が噴き出すことに神経をとがらせる国もある。

 「パレスチナの人々が正当な権利、公正で恒久的な平和の達成を求めるにあたり、パレスチナの人々の側に立ち続けている」

 アラブ世界の盟主サウジアラビアで実質的に国政を取り仕切るムハンマド皇太子は、パレスチナ自治政府のアッバス議長との電話協議でこう明言したという。

 米国の仲介でイスラエルとの関係正常化交渉が続き、ムハンマド氏が「近づいている」とさえ発言したサウジ。しかし、その進展を伝える報道が過熱するなか、ハマスの攻撃があった7日の外務省声明では「(イスラエルによる)継続的な占領とパレスチナの人々の正当な権利の剝奪(はくだつ)の結果」を警告してきたと主張。双方に自制を求めたものの、今回の遠因はイスラエル側にあるともとれる内容だった。

 ハマスの奇襲による民間人殺害など残虐な行為が伝えられているが、中東の人々にとって今回の衝突は「ハマス」の問題ではなく、パレスチナの「大義」として捉えられている側面がある。長年にわたるイスラエルとの対立とパレスチナ占領の歴史から、米欧が両者を切り離そうとしても、中東の人たちにとっては不可分であることを物語っている。

 「みんな怒りに震えている…

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この記事を書いた人
高野裕介
国際報道部次長|欧州、中東
専門・関心分野
中東、紛争、外交、国際政治
イスラエル・パレスチナ問題

イスラエル・パレスチナ問題

イスラム組織ハマスが2023年10月7日、イスラエルに大規模攻撃を行いました。イスラエルは報復としてハマスが実効支配するパレスチナ自治区ガザ地区に攻撃を始めました。最新のニュースや解説をお届けします。[もっと見る]