エロは隠れて見ればいい マンガ家・山本直樹の「表現の自由」の戦い

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聞き手・岡田玄

 少女キャラの「萌(も)え絵」や、性的な内容を強調した広告が街にあふれている。それは「表現の自由」の範囲内なのか。自らのマンガでは「表現者として、性器も含めてすべて描く」と言いきる山本直樹さんに、公共空間での性的な表現について尋ねた。

それを見たくない人がいるなら

 来年でデビュー40周年です。ずっとエロマンガを描いてきました。職業適性がぼくに合っていたとしか言えません。あさま山荘事件にいたる連合赤軍をテーマにした「レッド」を描いていた時も、次々にエロのネタが頭に浮かんできて……。残りの人生で、それを描いていくつもりです。

 とにかく、エロを描くのが楽しいんです。でも、すべての人に読んでほしいと思って、やってきたわけではありません。読みたい人が読めばいいし、見たくない人には見せる必要はありません。

 エロの定義ですか? エロとは、各自がエロいと思うもの。その対象は千差万別です。例えば、大きなお相撲さんにエロを感じる人もいれば、小さな女の子に感じる人もいるわけです。何がエロいのかなんて決められません。

 「萌え絵」と呼ばれる少女キャラを自治体や企業が使い、それが性的だと問題になることがあります。これも描き方だけでなく、受け手がどう感じるかでも変わります。だから、どんな萌え絵がエロいのかとは、一概には決められません。ただ、それを見たくない人がいるなら、公的な場所に出すべきではない。広告なら、消費者に求められないものは消えます。資本主義社会とは、そういうものでしょう。

 最近、「表現の自由」を掲げ…

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この記事を書いた人
岡田玄
東京社会部
専門・関心分野
中南米、沖縄、移民、民主主義、脱植民地主義