宇宙から降り注ぐ「宇宙線」撮影に成功 ノイズ調べたら「写ってた」
宇宙から降り注ぐ大量の宇宙線「空気シャワー」を初めて画像化することに、国立天文台や大阪公立大などの研究チームが、すばる望遠鏡の観測により成功した。文字どおり大量のシャワーが画像として写っていた。論文が12日、科学誌サイエンティフィック・リポーツに掲載された(https://doi.org/10.1038/s41598-023-42164-4)。
地球には、宇宙のかなたで加速された高エネルギーの粒子が宇宙線として降り注いでおり、大気とぶつかると大量の電子やミューオンなどの粒子がシャワー状につくられる。1個の宇宙線から100億個の粒子が生まれることもあり、空気シャワーと呼ばれる。
研究チームは、ハワイ・マウナケア山頂のすばる望遠鏡の超広視野主焦点カメラ(ハイパー・シュプリーム・カム=HSC)が撮影したデータに注目した。
本来は天文観測の「邪魔者」
目の網膜にあたるカメラ画像センサー(CCD)を、プラスやマイナスの電荷を持った粒子が貫通すると、飛跡がノイズとして写り込むことがある。銀河や星の観測の邪魔になるため、通常はデータ処理で除去されているやっかいものだ。
研究チームが、すばる望遠鏡が2014~20年に撮影した元画像約1万7千枚を調べ直したところ、13枚に大量のノイズが写っていることがわかった。
画像には、暗闇を飛び交うホタルのような光跡が写っているが、この光跡が同じ方向を向いていることから、1個の宇宙線が大気に飛び込み、大量の粒子を生み出した空気シャワーだと判明したという。
■「捨てる神あれば拾う神あり…