若者がなぜ、立候補年齢引き下げを求めるのか 能條桃子さんが語る

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聞き手 編集委員・豊秀一

 議員に立候補できる年齢(被選挙権年齢)を引き下げるための運動を始めた若者たちがいる。その一人が、若者の政治参加を促す「NO YOUTH NO JAPAN」(NYNJ)代表理事の能條桃子さん(25)だ。今年4月の神奈川県知事選に立候補の届け出をしたが受理されず、「憲法が認める被選挙権を奪われた」などとして、被選挙権を行使できる地位の確認などを求める訴えを東京地裁に起こした。なぜ、被選挙権年齢の引き下げを求めるのか。能條さんに話を聞いた。

 ――裁判を起こしたきっかけを教えてください。

 「4年前、デンマークに留学したとき、自分と同じ年齢の21歳の人が国会議員になったり、その周りにいる子たちが政治的に積極的に活動したりしているのを見ました。若い世代の声が政治に届き、政策も変わっていく。声を上げられる風通しのよさを感じ、被選挙権年齢の引き下げが必要だということを実感しました」

若い世代だからこそ見える課題や解決策がある

 「留学中にNYNJを立ち上げました。インスタグラムのアカウントを作り、選挙のことをわかりやすく解説するキャンペーンを始めたのです。2週間でフォロワーが約1万5千人になって、思った以上の反応でした。帰国後、被選挙権年齢の引き下げについて国会議員に陳情活動をしたのですが、真剣に取り合ってもらえるような感覚を持てませんでした。議員と話をしても、若い世代が困っていることが見えていない、というのを痛感しました」

 「昨年9月、社会課題の解決を目指す訴訟の支援に特化したウェブプラットホームを運営する団体『Call4(コール4)』と一緒にイベントをしました。被選挙権年齢の引き下げをテーマに議論したのですが、その後、弁護士から『実際に裁判をやってみませんか』と相談を受けました。そこから、今年4月の統一地方選を目指して取り組もうと、本物のプロジェクトになったというのが経緯です」

 ――裁判で最も強調したいことは何でしょうか。

 「参政権というのは、選挙権と被選挙権でセットであり、被選挙権だけを制限するのであれば理由が必要です。裁判では、それが理由として成り立っているのか、と問いたいと思っています。被選挙権年齢が制限される理由として、相当な知識や経験が必要とか、社会的経験に基づく思慮と分別が必要、といった説明を政府はしています」

 「そんな思慮や分別が今の政治家にあるのかと言われたら、人によると私は考えています。もちろん、若い人に全員政治家にふさわしい能力があるかどうかはわかりませんが、それを判断するのは有権者であり、年齢で区切る理由はないと思います」

 「しかも、若い世代だからこそ見えている課題や問題意識、そのための解決策があると思うのです。すべての世代の代表が送られてこそ、民主主義はうまく機能するはずです。そんなところも裁判で議論になれば、と考えています」

 ――この20年をみても、イギリスやフランス、韓国などで国会議員の立候補年齢が引き下げられています。日本社会が止まっているように見えますが。

 「社会そのものは変わってい…

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