撤回の虐待禁止条例案、憲法から考えた 「個人の尊厳」の強い意味
岡林佐和
子どもの留守番を虐待として禁止するなど、従来の「虐待」の範囲を大きく広げる埼玉県の虐待禁止条例改正案が波紋を呼びました。憲法学者からはどう見えるのか、志田陽子・武蔵野美術大教授に聞きました。
「絶対的虐待」との違いは
まず、婚姻や家族について定めている憲法24条は、家族という単位を法的に保護するものですが、古い家父長制を脱却し、家族の構成員ひとりひとりに個人としての人生があり、その人生を尊重することもうたっています。そこでは「個人の尊厳」という「尊重」よりも一段階重い言葉が使われています。家族の中で誰かを犠牲にしないという強い意味があります。子どもが適切に養育を受ける権利も、親の自己実現も、この枠組みの中でともに尊重されるべきものです。
その上で、子どもに留守番をさせることが虐待にあたるのかどうか。
留守番は、子どもの能力や…
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