父が聞いた午前1時の駒音 藤井聡太との死闘に臨む永瀬拓矢の少年期

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北野新太

 将棋の永瀬拓矢王座(31)に藤井聡太名人・竜王(21)=王位・叡王・棋王・王将・棋聖と合わせ七冠=が挑戦する第71期王座戦五番勝負(日本経済新聞社主催)の第4局が11日、京都市で指される。シリーズ成績2勝1敗の挑戦者は3勝目を挙げると史上初の八冠独占となる。王座は5連覇による永世称号「名誉王座」獲得に向け、負けられない戦いに臨む。死闘の渦中にある永瀬王座が「背中を見てきた」と公言する父・宏さん(70)と母・伸枝さん(55)に見守る心境を聞いた。

 盤上の枠にとどまらない視線が注がれる勝負に臨む永瀬と藤井は2017年から練習対局を続ける研究パートナーでもある。

 デビュー直後の14歳だった藤井に永瀬から声を掛けて始まった鍛錬の時間だが、永瀬にとっては特別なことではない。学ぶべきものを持つ相手だと思えば自ら若手を誘い、盤を挟む日常は昔も今も変わらない。

 タイトルホルダーとして頂点を極める者がまだ何者でもない若者に声を掛けることは、勝負の世界のみならず一般社会でも珍しいと言えるだろう。

 相手が後輩であれ、教えを乞おうとする姿勢について、かつて尋ねた。永瀬は「父の背中を見てきたので」と教えてくれた。

ストイックな姿勢で知られる永瀬王座は、どんなふうに将棋と出会い、どう向き合ってきたのか。ご両親だからこそ知るエピソードを語っていただきました。

 「長くラーメン屋を続けてい…

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